手繰り寄せて

朝4時のにおい、昨日に引き続きかいでる

鳥のさえずりをききながら、洗濯物をたたんだ

部屋の片付けをする頻度が高くなっているのに、常に散らかっている

散らかっているのに、時間が動いている感じが鮮度をたもっている

枯らせてしまったお花を目の前にして

早く埋葬しなくては、と思って実行するのはいつになるのやら

自分の意思がともなう行動で得たものだけまもりたい

わがままだなあってきこえた

わがままだなあってつぶやくのはいつかの誰か

いまのわたし

目の前を漂う綿毛のようなむし

ふーって吹きかけた綿毛

目の前はかわべで野球をするひとたち

途中で降りた駅

待っていた返事、結局一緒に帰れなかったな

するする紐解くように思い出される川での出来事、そのさきの学校と友人の家

急な斜面の坂道を登ったらドア越しに聞こえるバンド練習の音

聞き覚えのある歌

ベンチにひとり、ギターを練習する人はいつかのわたしです

カテゴリが増えるにつれて忘れ去られるはじめのほうにカテゴリにいれられたものたち

断片だけ残る記憶、もう、生きているうちには取り出さないもの

感情は移り変わるが、季節はいつもおなじ

朝昼晩のにおいを閉じ込めたら、風でゆれる木が筆をにぎってひとつの絵になる

まあるいテーブルを囲んだ外国に住む日本で生まれた人

どんなかおしてたっけ、たばこを巻く指先

あれから映画でよく目にする

過ぎてほしくなかった時間を繰り返し再生する

永遠に生まれない永遠に心を焦がして

また寝たら忘れるいくつかのこと

ホチキスであけたあなから風が通り抜ける

痛みを伴うなら絆創膏をはってあげましょう

ひゆではなく、ひふに

辿るのはひとやすみして、眠りにつきます