魔女 in洞窟
衣食住に肌が鈍くなるほど、ものにあふれ、便利になり、人の心まで分類し、表面しか見ないこと。
そういう楽の仕方は幻想だと、とうのむかしに気付いた。
わたしの周りで人は死んでいないし、みんなから身に余る程助けられ、お金にも困っていない。
家族も友人も、側で生きているし抱きしめてくれる。
そういう幸せの価値は、やっぱりなくならないと分からないなあ。
なくなることのかなしみと暗さを知ったら、人と目を見て話せるようになった。
凄まじくもないし激しくもない絶望が、たいしたことないことだということも知っている。
そういう価値を顧みないで生きているひとたちに囲まれ、目も当てられない貪欲さに泣きたくなったり、悔しくなったり、怒鳴りたくなったりする。
それなのに、やさしさだけは常に心に持っているところを垣間見るたび、知っているとか知らないとか背景とかどうでもよくなる。
今日は半年ぶりに髪を染めた。
そのあと、魔女のような人がやっているカフェ(洞窟みたいに薄暗くて、「〜洞」というお店の名前に納得)で激辛麻婆豆腐を食べた。
辛いものを食べた後かならずと言っていいほど胃が痛くなるし、少しの辛さも口の中が刺激されて食べ物を美味しく食べられないような気がして嫌なのに、食べている途中味覚がちゃんと機能しなくなって、刺激に耐えられず涙も浮かべたけれど、ここの麻婆豆腐はすごく美味しかった。
胃も痛むどころか、体によいものを食べたなあというかんじで、帰り道はぽかぽかして家路に着いた。
今度はまりちゃんを誘って名物のチキンカレーを食べにこよう。
本を貪るように読める季節、さいこう!