緩い

4年が経過してもなお、色褪せるどころかより確かなものとして横たわり、消えることのない存在

何度も交わした口約束がさびしく、その間にもどんどん立体的になりゆく影があまりにも強烈で、振り払っては必死にしがみついて、すこしも離れられたことなど、なかったのかもしれない。

ずっと、それしか見えずに主観が一向に欠けない。

積み重なる伝えられなかったことの数々に漸く後悔して、何度目かの終わりを今迎えている。

今日はそれ以外のことが考えられないままバイトへ行き、なにもかも上の空だった。

誰かに会いたかったが、ひとりに断られてからまた他の誰かに連絡する虚しさがかなしくてやめにして、それでもまっすぐ帰ることも憚られたから、ずっと行ってみたかったチャイが美味しいと聞いていた古本屋にバイト後立ち寄った。店内が狭く、緊張してしまって、チャイを頼まずに、ふるまい茶をいただき、ぐちゃぐちゃな感情を振り払うようにして本棚を眺めた。

30代になってから海外旅行へ行った作者の旅行エッセイを読んだ。

ちょっと天邪鬼なタイトルがよくて、内容もそんなかんじで、読みながら思わず笑ってしまった。すこしだけ気分が晴れた。

残念ながら非売品の判子が押されていたので、メルカリで探すか、と思って本棚に戻すと、丁度お店番をしていた方の本だったらしく、定価の半額で譲っていただけることになった。

何にも知らない人との会話で、この気持ちは少しずつ薄れてゆくとしんじて、いずれ忘れてしまう日を想像できた。

いつか、違う誰かにでもいいから、伝えられるように日々を重ねていきたい。

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