故郷

家でピザを食べて、課題をやりながらこたつで死んだようにねむっていた。

日菜子が家に来ると、一生遊んで暮らせそうなきがする。

自分をころしたくなるほどの考え事も

ぜんぶどうでもよくなるし、なんなら笑える。

周りのひとらがやっている恋愛は

わたしたちにはできないねと言いながら

気がつけば2年も経って、

その間にしっかりと傷付いた跡は漸く癒えてきた。

去年、ずっと眠れなくても日菜子が毎日のように

泊まりに来ていたから気にせずに済んだ。

勝手に涙が流れるほどの絶望も遠く感じた。

バイトだけしてお金だけはあったから

馬鹿みたいにピザをとったし、

近くのお洒落なカフェに朝食を摂りに行ったりもした。

繁華街には行かずに、

近所にはご飯を食べるところも映画館もあったから、

自転車での移動できる範囲だけで事足りていた。

彼女との出来事。

19の夏、

午前2時にタバコを買いに行って

ライターしか買えなかったことも、

ひとりの男に振り回されていたことも、

クリスマスにピザが三時間も届かずに

惨めな気持ちになったことも、

もう懐かしい記憶になってしまった。

 

もうすぐ、小学生の頃から過ごしたこの街を離れる

どこにいても暮らしができますように