2017.12.25

強くて途切れないビル風で一向に点かないライターで無心になって火を灯し続けていたら、指の皮がずる剥けていた。電車に乗るまで気がつかなかった。

 

初めてみた2年前からずっと心にあったうたをクリスマスに新宿Jamで。ずっと変わらない、いつでもひとり聞いていた音楽。自分だけの世界の基盤である存在をしっかりと染み込ませた。手を上げなくても、からだを揺らさなくても、手を叩かなくても、自然に淀みなく流れてくる、やさしくて尊いうたを、わたしは信じる。うそつきが氾濫する中で、小さなスポットライトのしたで目をかすめるほどの輝きを放つ少女がいつだって真実。重なりあう人々の隙間からもれる光、時折のぞく揃えられた前髪の奥に隠された瞳だけが語る熱情。舞台の上で、踊っているようだった。目に見えるものだけがすべてではない。わたしは音楽で表現することができないから、言葉を取りこぼさないように掬い上げる。あのとき溢れたもの以外フィクションだけれど、すこし時間を置いて曖昧になったいま、見えぬところで薄い膜が張られているのを確認する。

 

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